技術資料
L01#系ミニキャブにHIDヘッドランプを装備



いまから20年くらい前、フランスのルマン24時間レースに出ていた日産のスポーツプロトタイプカーが、ひときわ白く明るいヘッドランプをキラキラと点灯させて走っていました。
それが当時最新型の市光工業社製の「キセノンヘッドランプ」だと知り、いつかは自分の愛車に是非付けたい!と思いました。
新車なら数万円でメーカーオプションでHIDランプになるのですが、後付けは結構な値段がするものが多く、なかなか手頃なものになりませんでした。
ところが最近は、北京五輪や上海万博などを見てのように、中国の(特に沿岸部の)経済発展が目ざましく、以前なら考えられないような値段のHID交換キットが売り出されるようになりました。俗にいう「中華HID」とか「大陸製」とかいうものです。

さて、自動車のヘッドランプも種類があり、私のミニキャブは直径17センチの規格型丸2灯です。新車装着の純正はシールドビームという、電球が切れたら一体で交換しなくてはならないタイプでした。
それもかなり明るくないので、なんとか対策をしようと思い、まずは学生時代に、京都の八幡市の解体屋さんで手に入れた、ホンダシティ(AA/VF型)純正のコイト製のハロゲンランプに交換しました。
そして、H4バルブ(電球)は、PIAAのツインカラービームという、ロービームがイオンイエローで、ハイビームが白という当時の流行のものに交換していました。

今回HIDランプに交換する直前の状態は、ヘッドランプ本体はスタンレー社製の「マルチリフレクターFH03」(クリア)、H4バルブは安かったのでワコー社製の少し青いものを入れていました。

いよいよ施工にかかります。
まずHIDキットが送られてきた時は、画像のように左右で線対称な発光部(バーナー)が入っていました。これでは右ランプか左ランプか、どちらかしかうまく配光が出ません。



そこで出荷元の業者さんに、配光の出ない方のバーナーを交換してもらえるようにお願いしたところ、もう一組左右のバーナーを送っていただく事が出来ました。

やっと左右で同じ向きのバーナーが揃いました。
今回施工のバーナーは、ハイビーム用、ロービーム用それぞれにバーナーがある「ツインバーナー」タイプで、それぞれ35ワット・4300ケルビンです。画像のとおり、バーナーの後ろ側の突出が15mm程度なので、ミニキャブのような奥行きに余裕のない車両でも装着できる可能性が出てきます。



まず、車体からランプ本体(灯体)を取り外します。



フロントグリルを外して、灯体を取り出します。



灯体を外した状態の車体側です。
これが左側です。



これが右側です。今回の施工の「キモ」は、このランプハウジングにあるラム圧換気用の穴です。ここに配線を通すことができたので、HID化が実現できたのです。



外された灯体から電球(ハロゲンバルブ)を外していきます。

まずゴムパッキンを外します。



次にバルブを留めている金具をゆるめて、バルブを取り外します。



続けて、HIDバーナーをはめていきます。



外していたゴムパッキンをはめ込みます。



左ランプの裏側の配線の様子です。見えないところなので、あまり配線を固定してません。
ハイ/ロービームを検出するリレーの配線と、バーナーの配線をラム圧換気の穴にとおします。
バラスト(高電圧を制御する回路のアルミ色の箱)がバーナーにそれぞれ一つずつあるので、片側に2つ。ダッシュボードの裏の方に付属していた両面粘着テープで固定しました。



右ランプの裏側の配線の様子です。
左と同じように、バーナーからの配線を、ラム圧換気の穴にとおします。バラストは、車体前面の鉄板に張り付けました。



バッテリーからの電源供給(いわゆる「バッ直」)は、フォグランプの配線から分岐しました。



バーナーが装着されたヘッドランプです。

これが左側です。



同じく、右側です。



点灯すると、とても白く明るい発光に、満足できました。





空間的制約でHID化をあきらめないで、何とか施工できて良かったです。


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